今回は、熟年離婚を考える際に「持ち家」がある場合のポイントについてお話しします。長年住み慣れた家には、たくさんの思い出が詰まっていますよね。そんな大切な家をどう分けるべきか、特に住宅ローンが残っている場合の注意点や対処法について、わかりやすく解説していきます。
熟年離婚で持ち家はどうなる?まずは基礎知識をチェック
熟年離婚の際、持ち家の扱いはとても重要なポイントです。住み慣れた家を手放すのか、それともどちらかが住み続けるのか…。どの選択肢を選ぶにしても、感情的にも経済的にも大きな決断になります。
持ち家の所有形態を確認しよう
まず最初に確認すべきなのが、家の「名義」です。名義によって分与の方法が変わるので、しっかりチェックしましょう。
- 共有名義:夫婦それぞれの名義になっている場合は、話し合いで分与を決めることが一般的です。
- 単独名義:どちらか一方の名義になっている場合でも、婚姻期間中に購入したものであれば「共有財産」とみなされることもあります。
まずは登記簿や購入時期を確認し、持ち家がどのように扱われるかを明確にすることが大切です。
持ち家の評価と売却の可能性
持ち家の価値は、不動産市場の動向や住宅ローンの残高によって変わります。離婚後の生活を考える上で、持ち家の評価額を知っておくことはとても重要です。
持ち家をどうするかには、大きく分けて以下の選択肢があります。
- 売却する
- 売却して得たお金を分配する方法。現金化できるので公平に分けやすいメリットがありますが、市場の状況によってはすぐに売れないことも。
- どちらかが住み続ける
- どちらかが住み続ける場合、住宅ローンの支払いをどうするかを決める必要があります。

持ち家分与における感情的要素
持ち家は経済的な価値だけでなく、感情的な価値も大きく影響します。長年にわたり住んできた家には、思い出や歴史が詰まっており、単なる物理的な財産として扱うことが難しい側面も。したがって、夫婦間でしっかりとした話し合いを行い、相互に合意することが円満な解決につながります。
住宅ローンが残っている場合の注意点
持ち家に住宅ローンが残っている場合、その負担をどうするかが大きな問題になります。特に、ローンの名義人や連帯保証人が誰なのかによって、対応が異なります。
住宅ローンは財産分与の対象外?
実は、住宅ローン自体は財産分与の対象にはなりません。財産分与は基本的にプラスの財産を分けるものなので、借金は個々の負担となるケースが多いのです。
ただし、夫婦で協力してローンを返済してきた場合は、その負担のバランスも考慮しながら話し合う必要があります。
持ち家の住宅ローン残高と評価額を比較する
持ち家が「住宅ローンの残高より高く売れる」のか、それとも「売ってもローンが残る」のかで、取れる選択肢が変わってきます。
- アンダーローン(評価額 > ローン残高)
- 売却してローンを返済し、残ったお金を分配できます。
- オーバーローン(評価額 < ローン残高)
- 売却してもローンが残る場合、追加の返済方法を考える必要があります。
住宅ローンがある持ち家をどう分与する?
住宅ローンが残っている場合、持ち家をどうするかは慎重に考えなければなりません。具体的な方法をいくつか紹介します。
① 売却して住宅ローンを清算する
持ち家を売却し、そのお金で住宅ローンを返済する方法です。
メリット
- ローンの問題をすっきり解決できる。
- 売却価格が明確になるため、資産の公平な分配を実現しやすくなる。
- 現金化を通じて、具体的な金額に基づいて分けられる。
- 売却することで物理的な財産が分かれるため、将来的な紛争を避けることができる。
デメリット
- 不動産市場の状況によっては、売却に想定以上の時間を要することがある
- 必ずしも予想通りの価格で売却できるわけではなく、双方の期待が異なる場合、トラブルが生じることがある。
② どちらかが住み続ける(住宅ローンを引き継ぐ)
メリット
- 不動産の売却を伴わないため、速やかに現金の分与が行える。
- 共に過ごした思い出の詰まった家を手放すことなく、どちらかが居住を続けることが可能
デメリット
- 残った住宅ローンをどうするか決める必要がある
- 住宅ローンの名義変更が可能か確認:金融機関が認めるかどうかチェック
- 住宅ローンの支払い能力を考える:一人で支払い続けられるかをよく検討する
- 高額不動産の場合、持ち家の評価額に基づいてローンを差し引いた半分の現金を準備することが難しい
③ 賃貸に出して家賃収入を得る
売却せず、第三者に貸し出して家賃収入を得る方法もあります。
- メリット:家を手放さずに収益を得られる
- デメリット:管理の手間や借主とのトラブルリスクがある

持ち家の分与で損をしないためのポイント
離婚後に後悔しないために、持ち家の分与で押さえておきたいポイントは以下の通りです。
✅ 登記情報やローンの詳細を確認する
✅ 売却と住み続ける場合のメリット・デメリットを比較する
✅ ローンがある場合は金融機関と相談する
✅ 相手との話し合いだけでなく、専門家の意見も聞く
専門家に相談するタイミングとポイント
持ち家の問題は、法律や不動産に関する知識が必要なため、専門家に相談するのがおすすめです。
相談すべき専門家
- 弁護士:財産分与の法的アドバイスをもらえる
- 不動産鑑定士:持ち家の適正価格を査定してくれる
- ファイナンシャルプランナー:離婚後の生活設計をアドバイスしてくれる
相談の際に準備しておくと良いもの
✅ 持ち家の登記情報
✅ 住宅ローンの残高や契約内容
✅ 夫婦の共有財産一覧

まとめ
熟年離婚における持ち家問題は、感情面だけでなく、経済面でも大きな影響を与えます。どの選択肢がベストなのかを見極めるために、しっかりと情報を集め、専門家の意見を取り入れながら進めていきましょう。
新しい人生のスタートを前向きに迎えるために、納得のいく選択ができることを願っています!