熟年離婚をして一人暮らしを始めるとなると「どれくらい生活費がかかるのか」と気になるものです。
特に、長年夫婦で生活していた場合、家計のやりくりを相手に任せていたり、これまで2人(または家族)で共通の出費だった経費が一人暮らしで個々に発生するようになり、具体的な出費のイメージが湧かないこともあるでしょう。
実は、男女でかかる生活費には違いがあります。さらに、住居の形態(持ち家か賃貸か)や車の有無によっても変動します。この記事では、熟年離婚後の生活費を男女別に比較しながら、どのような費用が発生するのかを詳しく解説していきます。
熟年離婚後の生活費はどう決まる?
一人暮らしの生活費は、どのような要素で変わるのでしょうか?主に影響するのは次の3つのポイントです。
住居の選択(持ち家 or 賃貸)

持ち家がある場合、家賃こそかかりませんが、固定資産税や管理費、修繕費などが必要になります。特に、築年数が経過している場合は、定期的なメンテナンス費用も考慮しなければなりません。
一方、賃貸に住む場合は、毎月の家賃が発生します。都市部では家賃が高めですが、地方なら比較的抑えられることもあります。ただし、更新料や引っ越し費用も見込んでおく必要があります。
今回は持ち家のローンを完済しているケースを想定しています。ローンが残っている場合は別途支払いを加算する必要があります。
車の有無(あり or なし)
車を所有している場合、ガソリン代、駐車場代、車検費用、自動車保険などがかかります。特に都市部では駐車場代が高くなるため、家計の負担が大きくなることもあります。
一方、車を持たずに公共交通機関を利用する場合は、毎月の交通費が発生します。ただし、地域によっては車がないと生活が不便な場合もあるため、生活スタイルに応じた選択が必要です。
男女別・一人暮らしの生活費の違いを比較

男女で差が出る品目のポイント
項目 | 差が出るポイント |
---|---|
住居費(賃貸の場合) | 女性は駅近・治安重視、男性は安さ優先の傾向 |
食費 | 女性は自炊中心、男性は外食やコンビニ利用多め |
光熱費・通信費 | ほぼ差なし |
医療・保険費 | 健康意識の違いで若干変動 |
交通費 | 男性は車を持つ比率が高め |
交際費 | 女性は友人との交流多め |
美容・健康費 | 美容室・化粧品などの差 |
衣類・ファッション費 | 女性は季節ごとの買い替え多め |
娯楽・趣味費 | 男性は趣味にお金をかける傾向 |
生活スタイルの違い
- 女性は家の中を整える傾向が強く、インテリアや日用品に気を使う人が多い。(例:季節ごとの模様替え、小物や収納用品の購入)
- 男性は最低限の家具・家電で済ませる傾向があり、こだわりが少ない人もいる。
食生活の違い
- 女性は栄養バランスを意識した食生活を送りやすく、健康志向の食品やサプリメントを購入するケースが多い。
- 男性は外食やコンビニ利用が増え、食費がかさむことも。
交際費の違い
- 女性は友人とのランチや旅行など、交流を大事にする傾向があり、その分の交際費が発生する。
- 男性は交際費が少なめなことが多いが、趣味にお金をかける人もいる。(ゴルフ、車、ガジェット系など)
健康・美容関連費用
- 女性は美容室代、化粧品代、エステなどに一定の支出がある。
- 男性は散髪代のみで済ませることが多く、美容費は少なめ。
家事にかかるコストの違い
- 女性は家事を自分でこなす割合が高いが、男性は家事代行やクリーニングに頼るケースが多く、その分の費用が発生。
住居の選び方の違い
- 女性は安全性や利便性を重視し、治安の良い場所や駅近を選ぶ傾向がある。
- 男性は利便性よりも家賃の安さを優先することが多い。
男女別各品目の内訳
男女で生活費の内訳がどのように異なるのか、具体的な数値をもとに比較してみましょう。
項目 | 女性 | 男性 |
---|---|---|
住居費 | 持ち家:30,000円 賃貸:70,000円 | 持ち家:30,000円 賃貸:60,000円 |
食費 | 40,000円 | 50,000円 |
光熱費・通信費 | 15,000円 | 15,000円 |
医療・保険費 | 10,000円 | 8,000円 |
交通費 | 車なし:5,000円 あり:20,000円 | 車なし:5,000円 車あり:20,000円 |
交際費 | 15,000円 | 10,000円 |
美容・健康費 | 15,000円 | 5,000円 |
衣類・ファッション費 | 10,000円 | 5,000円 |
娯楽・趣味費 | 10,000円 | 15,000円 |
合計 | 140,000円〜195,000円 (パターンにより変動) | 128,000円〜168,000円 (パターンにより変動) |
食費・日用品費など節約意識を持つことで抑えられる品目もあります。

生活費シミュレーション(パターン別)
持ち家か賃貸か、車を持っているかどうかで、生活費の総額がどう変わるのかまとめてみました。
パターン | 女性(月額) | 男性(月額) |
---|---|---|
持ち家+車なし | 140,000円 | 128,000円 |
持ち家+車あり | 155,000円 | 148,000円 |
賃貸+車なし | 180,000円 | 168,000円 |
賃貸+車あり | 195,000円 | 188,000円 |
こうしてみると、持ち家で車を持たない場合が最も生活費を抑えられ、賃貸+車ありが最もコストがかかることがわかります。
この表を見ると全く足りないと不安になる方もいるかもしれません。あくまでも一般論なので、もっと少ない費用でやりくりしている方もたくさんいらっしゃいます。
- 公営アパート:30,000円
- 食費:30,000円
- 光熱費や日用品費:20,000円
- 携帯電話:3,000円
- 衣服美容費:10,000円
- 交際費:10,000円
- 交通費:自転車・徒歩で0円
とはいえ、離婚する前にしっかり事前準備をすることも大切です。

貯蓄の重要性と将来の支出

将来の支出に備えた貯蓄の重要性
熟年離婚後の生活では、毎月の生活費だけでなく、将来的な支出も考慮する必要があります。
例えば、子供が結婚する場合には結婚祝いが必要になり、さらに孫が生まれればプレゼント代も発生します。こうした出費は、日々の生活費とは別に、貯蓄からまかなう必要があります。
また、医療費や介護費用の増加も考えられるため、長期的な視点で貯蓄を計画することが大切です。
- 子供の結婚祝いや出産祝い
- 孫のプレゼント代
- 自身が病気になった場合
- 介護等で働けなくなった場合
- 旅行などを楽しむための資金
働けなくなったときにのしかかる将来の支出
働いてお給料をもらっている際にはあまり意識していない品目も無職になると堪えます。年金があれば年金から払う形になりますし、年金受給前であれば月々の生活費で足りなければ貯蓄を崩して払うことになります。
- 住民税
- 国民保険
- 介護保険
熟年離婚後の一人暮らし生活費まとめ
熟年離婚後の生活費は、性別だけでなく、住居や車の有無によっても大きく変わります。
特に、以下の点が重要になります。
- 女性は美容・健康費や交際費が高め、男性は食費や娯楽費が多い
- 持ち家か賃貸か、車を持つかどうかで生活費が数万円単位で変動する
- 貯蓄がないと、将来の急な出費に対応できなくなる可能性がある
離婚後の生活設計を考える際には、こうした違いを踏まえて、自分に合ったライフプランを立てることが大切です。しっかり準備をして、無理のない生活を送りましょう。