「8時だョ!全員集合」において音楽は大ヒットを生むための重要なファクターとなっています。
コント中のBGMが臨場感を生み、「ヒゲダンス」などの国民的ヒット曲やテーマソングが人々の心を掴むことで” 怪物番組 ”が誕生しました。
そしてドリフターズのコントの持ち味はネタからネタへの心地よいリズム感。
なにを隠そう彼らはコントグループでありミュージシャン、彼らのお笑いの根底には音楽があります。
今回は「8時だョ!全員集合」における音楽にフォーカスを当ててみたいと思います。
8時だョ!全員集合を支えた音楽家たち
作曲家:山本直純
出典:BS朝日
山本直純は、「男はつらいよ」のテーマ曲や童謡の「一年生になったら」など数多くの楽曲を手掛けた作曲家です。
ジャンルはクラシック、童謡やポピュラーなど多岐に渡り、類まれなる才能から天才と称されました。
「8時だョ!全員集合」楽曲提供時は、コントの打ち合わせが本番前日の金曜にまでかかることが多かっため、わずか1日で作曲および編曲をし、楽譜に起こしてバンドに渡していたようです。
さらに番組スタッフからの「5秒分削ってほしい、ここは15秒分書いてほしい」などといった無理難題も難なくこなしてしまうようで、数々の伝説が語り継がれています。
作曲家:たかしまあきひこ
出典:いい葬儀
山本直純の東京芸大時代の後輩で山本の助手を務めていた人物です。
多忙を極める山本より、8時だよ全員集合の音楽制作を一任されることになります。
それまでのイメージを守り、番組の看板ともなる曲をいくつも作成するなどサウンドメーカーとしての才能を発揮します。
そんなたかしまあきひこ氏が「8時だョ!全員集合」において作った曲は3000曲以上!
驚異的な数ですね。
バックバンド:岡本章生とゲイスターズ
放送回によって異なりますが長期にわたって「8時だョ!全員集合」の音楽を演奏してきたのは岡本章生とゲイスターズという日本を代表するビッグバンドです。
リーダーである岡本章生さんは哀愁漂うサウンドを得意とするトランペット奏者です。
加藤茶の「ちょっとだけよ」のネタの際にトランペットを演奏したのもこの岡本さん。
「ちょっとだけよ」の披露当初、舞台上には衝立(ついたて)があるため岡本さんからは加藤さんが何をやっているのかなにも見えなかったようで…。
演奏に熱が入るにほどに大きくなる笑い声に対して「なんでこんなに受けてんだろう?」と思いながら演奏していたとのことです(笑)
それにしても楽曲が出来上がるのが本番前日なのですから、演奏家たちのリハーサルはもっと短い期間しか練習時間がなかったんでしょうね…。
8時だョ!全員集合の代表曲
8時だョ!全員集合のオープニングマーチ
山本直純さんによって作曲された番組のオープニング曲です。
短いながらも耳に残るメロディで放送を待ちわびていたファンのテンションを上げてくれますね!
チョットだけヨ!全員集合
「エンヤーコーラヤット ドッコイジャンジャン コーラヤ♪」というフレーズに聞き覚えのある方は多いのではないでしょうか。
メンバーおよびゲストが舞台上で踊りながら歌う「8時だョ!全員集合」テーマソング的な曲。
元の曲は「北海盆唄」といい、北海道の盆踊り用の曲なんですよ。
曲も歌詞も印象的なため、一度聴いたらなかなか頭から抜けませんね。
振り付けもあるので大晦日の放送までに十分練習しておくことをお勧めします!
一緒に踊れば楽しみが倍増すること間違いないですよ!
盆回り
コントでオチが付いたときに流れる定番曲。
「8時だョ!全員集合」におけるたかしまあきひこさんの代表曲といえる名曲です。
舞台が回転しながら場面転換させる様子からスタッフ内で盆回りと呼ばれ、それがそのまま正式名称になったそうです。
コミカルな曲調で今でも面白可笑しいシーンの演出に使われています。
ヒゲダンスのテーマ
国民的ヒットとなったヒゲダンス。
有名すぎてこの曲を知らない人はいないんじゃないでしょうか?
これは「しゃべらなくても面白いものができないか」と志村さんが考えたのがきっかけで生まれた曲なんです。
洋楽マニアの志村さんはテディ・ペンダーグラスの「Do Me」を持って「コントで使えないか」とたかしまさんに相談をし、原曲のベースラインを残して編曲されたのがヒゲダンスのテーマとなりました。
ただし音楽通の志村さんが納得するまでは試行錯誤が必要だったようです。
ドリフのビバノン音頭
こちらはエンディングとして使われていた曲。
コーラスグループであるデューク・エイセスの「いい湯だな」をドリフがカバーしたものです。
番組のエンディングとして使われているときは加藤茶による「歯磨けよ!」「夜更かしすんなよ!」などのセリフが入りますが、このセリフはスポンサーのライオンに配慮した内容という大人の事情もあったそうな…。
ミュージシャンとしてのザ・ドリフターズ
ドリフはもともと音楽バンドだったということをご存じない方も多いのではないでしょうか?
演奏だけでなくコミカルな要素を絡めたコミックバンドとして活動をしておりビートルズの来日公演で前座を務めるなど実力も確かなものだったようです。
メンバーの担当楽器は以下の通り。
- いかりや長介:ベース
- 仲本工事:ギター・ボーカル
- 高木ブー:ギター・キーボード
- 志村けん:ギター
- 加藤茶:ドラム
- 荒井注:オルガン(1973年に脱退)
そんなミュージシャンから独自のお笑いスタイルを作り出していったドリフですが、加藤さんが言うにはドリフのネタの根底には音楽の間があるとのこと。
一定のリズムからオチに転ずる感覚は身体に染みついているからメンバー全員が咄嗟にわかるといいます。
見ているだけで楽しいドリフのコントの秘訣は彼らの音楽性にあったんですね。
まとめ
今回は「8時だョ!全員集合」の音楽を作り上げてきた音楽家、代表曲、ドリフと音楽の関わりについてみてきましたがいかがでしょうか?
「8時だョ!全員集合」が”怪物番組”まで成長したのはドリフターズだけの力ではなく、作曲家や演奏家やスタッフの力があったからこそでした。
ドリフにとっても音楽は原点であり、彼らのネタ作りの基本でもあります。
”お笑い”と”音楽”、一見すると関連性の無い2つですが、「8時だョ!全員集合」ではそんな2つのアンサンブルがどんな世代にも通じる「面白さ」を生み出しているようです。
生活の意外なものも音楽と絡めることで新しい面白さが生まれるかもしれませんね。